こんにちは、洋平です。
今回は、行政書士の登録料が高すぎて払えないとどうなるのか、
どうすれば良いのかについてお話しします。
行政書士の登録料とは
そもそも「行政書士になるのにお金がかかるの!?」と驚いている人も
中には居るかもしれません。
行政書士を目指している人なら知っていると思いますが、
試験に合格しただけでは行政書士にはなれません。
行政書士として仕事をするには、都道府県の行政書士会に所属して
「日本行政書士会連合会」に登録する必要があります。
その行政書士会に入会したり、日本行政書士会連合会に登録したりする際に、
色々とお金がかかるわけです。
一般的に「行政書士の登録料」とされるものは
・行政書士会への入会金
・行政書士登録手数料
・登録免許税の収入印紙代
・政治連盟会費
などですね。
行政書士登録を維持するのにもお金がかかる
行政書士として登録する際だけでなく、
登録している行政書士という身分を維持するのにもお金がかかります。
全ての行政書士は、
事務所を置いている都道府県の行政書士会に所属することになります。
その所属している行政書士会に「会費」を払わないといけないんです。
それから、都道府県の行政書士会の下に地域ごとの支部があるんですが、
その支部に対しても「支部会費」を払います。
詳しくは後述しますが、支部会費については払わないと行政書士として
仕事がしにくくなるだけで、行政書士の身分をはく奪されることにはなりません。
しかし都道府県の行政書士会の会費を払わないと、
会員権が停止されて行政書士としての仕事ができなくなります。
さらに最終的には行政書士会から「廃業勧告」が出されて、
行政書士を廃業せざるをえなくなってしまうんです。
先の行政書士の登録料は、払えないことには「行政書士になること」ができません。
都道府県の行政書士会の会費は、
払えないと「行政書士として居ること」ができなくなります。
その他にも諸々の経費がかかる
行政書士として仕事を始めるには、登録料や会費はもちろん、
その他にも諸々の経費もかかってきます。
まず必要となるのが「行政書士バッジの購入費用」です。
バッジを付ける職業と言うと、
「国会議員」とか「弁護士」なんかのイメージが強いかもしれません。
実は行政書士にも、国会議員や弁護士と同じように
「その職業に就いていることを示すバッジ」があるんです。
行政書士として仕事をする際には、
行政書士バッジを装着しておかないといけないという規則があります。
単なる規則なので、仕事中に装着していないからと言って、
何か処分を受けるといったことはありません。
しかし研修会や勉強会など公式行事に出席する際には、
バッジ装着が求められたりします。
ですから行政書士登録をしたら、
行政書士バッジを購入しておかないといけないんですね。
国会議員だと1つは無料で貰えたりしますが、
行政書士バッジは無料で貰えることは無くて1つ目から買うことになります。
バッジ以外にも、行政書士という肩書の入った「名刺」、
事務所名の入った領収書などの伝票なんかも必要です。
さらに、個人で言うところの実印に当たる「資格印」や認め印に当たる「職印」も
作らないといけません。
ちなみに「資格印」は丸印、「職印」は角印が一般的です。
1つ1つはそれほど大きな金額ではないものの、
行政書士として仕事を始める際には全てを同時に用意することになります。
塵も積もれば何とやらで、1つ1つは大した金額じゃなくても、
集まると結構大きな金額になってしまいます。
行政書士の登録料は高すぎる?
行政書士を目指していると、
「登録料が高すぎる」という話を一度ぐらいは聞いたことがあるんじゃないでしょうか。
では実際に、行政書士の登録料はいくらぐらいなんでしょうか?
行政書士の登録料で一番大きな割合を占めるのが「行政書士会への入会金」です。
都道府県によって入会金の金額が違うんですが、安いところでも10万円、
高いところだと25万円だったりします。
行政書士登録手数料は2~3万円ぐらい、登録免許税の印紙代で3万円程度、
政治連盟会費は3,000円ぐらいといったところです。
もう少し具体的に行政書士登録にいくらぐらいかかるかを、
東京都行政書士会を例に見てみましょう。
東京都行政書士会の登録料は
・入会金・・・200,000円
・登録手数料・・・25,000円
・印紙代・・・30,000円
・政治連盟会費・・・3,000円
で合計258,000円となります。
さらに、登録の際には行政書士会の会費を3か月分前払いしないといけません。
東京都の会費は月6,000円ですから3か月分で18,000円、
それをプラスすると合計で276,000円となるんです。
入会金の安い都道府県だったら総額が20万円までで収まりますが、
高い都道府県だと総額が30万円を超えてきます。
登録料を「これから行政書士として仕事をするための必要経費」として考えると、
それほど高くないのかもしれません。
しかし一般的に考えると、
登録するだけで30万円もかかるのは「高すぎる」と言われても仕方ないですね。
その他の経費にも数万円かかる
行政書士として仕事をするには、
登録料以外にもバッジ代など色々な経費がかかります。
登録料以外の経費も、合計すると数万円になってしまったりもするんです。
まず行政書士バッジの購入費用として3,000円、
行政書士の肩書が入った名刺を作るのにも4,000~5,000円ぐらいはかかります。
事務所名の入った伝票類は1冊数百円程度ですが、伝票類は何種類かありますし、
最初はある程度の数を用意しておかないといけません。
そうすると伝票類だけでも10,000円ぐらいかかってしまいます。
資格印と職印もそれなりの物が要るので、
それぞれ5,000円ぐらいと考えて2つで10,000円といったところでしょうか。
ざっと計算しただけでも、
登録料以外の経費として30,000円ぐらいはかかってきてしまうんですね。
行政書士の登録料が高すぎて払えないなら
行政書士の登録料は、都道府県によって多少違いはあるものの、
20~30万円ぐらいとなっています。
手元にお金が無くて「登録料が払えない」といった場合には、
どうすれば良いのでしょうか?
登録料が払えない場合には
・融資を利用する
・お金が貯まるまで行政書士登録しない
という2つの選択肢があります。
1つ目は、簡単に言うと「金融機関でお金を借りて登録料を払う」ということです。
金融機関の中には、「創業融資」などの新規開業を支援するための融資制度を
設けているところがあります。
それを利用して行政書士登録に必要な資金を調達するわけです。
2つ目は、登録料の20~30万円が貯まるまで行政書士登録せずに
他の仕事をするということです。
「融資」と言えば聞こえは良いですが要は「借金」です。
「いくら行政書士になるためとは言っても借金はイヤ」ということで、
登録料が貯まるまで登録せずに他の仕事をする人も実際に少なからず居ます。
日本政策金融公庫の創業融資を利用する
登録料を調達するのに融資を利用する場合は、
「日本政策金融公庫」に相談すると良いですよ。
一般的な金融機関で融資を受けようとすると、「担保」や「保証人」が必要だったりします。
20~30万円のお金も用意できないのに、
「担保」にできるような物を持っていることは少ないです。
また、人間関係が崩れる危険性もあるので、
家族や友人に「保証人」をお願いするのも躊躇われます。
しかし日本政策金融公庫の創業融資では担保も保証人も必要無いんです。
担保や保証人をつけることで多少金利が低くはなるんですが、
担保・保証人無しでもそれほど高金利にはなりません。
無担保・無保証人で創業融資を受けたとしても年利は2%台で収まります。
ちなみに担保や保証人をつけると年利が1%を切ることもあるんです。
一般的な金融機関でも、地方自治体と連携した創業融資を行っているところもあります。
日本政策金融公庫と同様に無担保・無保証人でも融資を受けることができて、
金利も低く設定されています。
ただし、どこの金融機関でも創業融資を行っているわけではありません。
「どうせお金を借りるなら身近な金融機関で」と思いますが、
取引のある金融機関に創業融資制度があるとは限らないで注意してください。
創業融資を利用することが将来役に立つ
私個人的には、行政書士として開業するんだったら、
手元にお金があったとしても創業融資を利用する方が良いと思っています。
「何でお金を持ってるのに借りなきゃいけないの?」と普通は思いますよね。
なぜ創業融資を利用するのが良いかと言うと、
将来的に「行政書士の仕事に役立つ」からなんです。
金融機関に仕事関係のお金を借りたことがあると分かりますが、
融資を受ける際には「事業計画書」を作らないといけません。
簡単に言うと、「今後どのように事業を展開して、
事務所を運営していくか」という計画書を作るわけです。
実はこの「事業計画書の作成」が行政書士の仕事の1つなんです。
もちろん基本的には融資を受ける事業者自身が作成しますが、
初めてだとどういった書式でどういった内容を書けば良いか分かりません。
そこで行政書士に事業計画書の作り方について相談したり、
作成そのものを代行してもらったりするわけです。
これから行政書士になるんだったら、
いずれ事業計画書についての相談や代行といった仕事をすることになります。
いずれ仕事として取り組むことになるなら、
最初に自分の事業計画書を作っておくことが良い予行演習になるんじゃないでしょうか。
お金が貯まるまで行政書士登録しない
登録料が高すぎて払えない場合には、
お金が貯まるまで行政書士登録をしないという選択肢もあります。
登録料や開業資金が貯まるまでアルバイトなど他の仕事をして、
貯まったら行政書士登録をして開業するのもアリだと思います。
行政書士試験に合格したらいつまでに行政書士登録しないといけない」といった
決まりはありません。
ですから、
試験合格後に数年他の仕事をしてから登録・開業といったこともできるんです。
「金利が低い」「事業計画書の作成が後で役に立つ」と言っても、
「やっぱりお金を借りるのはイヤ」ということもあるでしょう。
行政書士の登録料は高すぎると言っても30万円前後です。
なのでお金を借りるのがイヤなら、
行政書士登録せずに他の仕事をして登録料や開業資金を貯めるのも1つの手ですよ。
行政書士登録しないと行政書士としての仕事はできない
登録料が払えないので行政書士登録しない場合は、
「行政書士としての仕事」ができないので注意してください。
行政書士は国家資格で、「行政書士法」という法律でその身分が規定されています。
行政書士法に、行政書士の仕事をするには行政書士登録が必要といった趣旨のことが
書かれているんです。
ですから、行政書士登録しないで行政書士の仕事をすると法律違反となって
処分されてしまいます。
もし登録料や開業資金を貯めるために他の仕事をするとしても、
行政書士の仕事はできません。
総務部とか法務部とかに務めていると、
何かと行政書士のお世話になることが多いですよね。
そこで、行政書士の資格を持っている人を雇えば、
行政書士にかかる費用を抑えられるんじゃないか、と考えるケースもあります。
しかし行政書士の資格を持っていても、
行政書士登録していないと行政書士の仕事はできません。
なので行政書士の資格を持っている人を雇っても、
行政書士にかかる費用を抑えることはできないんです。
行政書士法に触れてしまうと、
後々行政書士登録をする際に不利益を被ってしまう恐れがあります。
ですから、登録料や開業資金を貯めるために他の仕事をする際には、
仕事内容をしっかりとチェックするようにしましょう。
合格後すぐに登録しないのにはデメリットも
行政書士試験に合格後、すぐに行政書士登録をしなくても良いんですが、
多少のデメリットもあるんです。
行政書士の主な仕事は「法律に則った書類作成」です。
行政関係に提出する書類は、書式が決まっていたり、
補助書類が必要だったりなどルールがややこしかったりします。
一般の会社や個人は、そういったルールに則った書類作成が面倒なので、
お金を払ってでも行政書士に書類作成を代行してもらうわけです。
行政機関と言うと「あまり変化しない」イメージが強いですが、
実は行政関係のルールや法律って頻繁に改正されています。
ニュースでは重要法案しか取り上げられませんが、
国会では年間100~200件の法律改正が行われているんです。
個人でそれらを全て把握して、対応するのは難しいですよね。
そこで行政書士会は、行政書士の仕事に関わるルールや法律の改正が行われると
研修会や勉強会を開いて詳しく解説しています。
研修会や勉強会に参加することで、
各行政書士はルールや法律が変わったことに対応できるというわけです。
しかし行政書士登録していないことには、
行政書士会が開催する研修会や勉強会に参加することができません。
要するに、試験合格後すぐに登録しないと、
ルールや法律の改正に対応できなくなる恐れがあるということです。
いずれ行政書士として開業するなら、
融資を利用してでも早めに登録した方が良いかもしれないですよ。
登録後に会費が払えなくなるとどうなる?
「登録料は何とか払ったけど月々の会費が払えない」といったことが
起こるかもしれません。
では行政書士登録後に、
行政書士会の会費や支部会費が払えないとなるとどうなるのでしょうか?
まず支部会費の方ですが、こちらは払えないと行政書士会が開催する研修会や
勉強会に参加することができなくなります。
研修会や勉強会に参加するには支部を通して申し込むことになるので、
支部会費を払っていないと申し込みができなくなるわけです。
それから支部が振り分ける仕事が回ってこなくなります。
行政書士に仕事を頼む側になって考えると、
どの行政書士にお願いすれば良いか分かりませんよね。
それどころか、どこに行政書士事務所があるのかすら分からなかったりします。
そういった場合に、
行政書士事務所ではなく行政書士会の支部へ相談しに行くことになるんです。
支部は仕事を受けませんから、
所属している各行政書士事務所に仕事を回すことになります。
支部会費を払っていないと、そういう支部が回す仕事が振り分けられなくなるんですよ。
行政書士会の会費を払えないと最悪廃業に
都道府県の行政書士会の会費を払えない場合は、
最悪だと行政書士を廃業せざるをえなくなります。
行政書士法とは別に、各都道府県の行政書士会ごとに「会則」が定められています。
その中に、「会費を払うことは会員の義務であること」
「会費を払わない会員には処分が下せること」が明記されています。
1度会費が払えないからと言って、すぐに廃業となるわけではありません。
最初は督促が来て、それを無視すると「会員資格停止」の処分が下り、
それでも払わないと「会員権停止」となります。
会員資格停止では、研修会や勉強会など行政書士会の行事に
一切参加できなくなりますが、行政書士としての仕事はできます。
会員権停止となると、行政書士会の行事に参加できないのはもちろん、
行政書士としての仕事もできなくなってしまいます。
さらに会員権停止とセットで「廃業勧告」が出されることもあって、
そうなると行政書士を廃業せざるをえなくなります。
未納分の会費を全て払えば廃業勧告は取り下げられますが、
会員権停止の処分は下ったままです。
なので、一定期間は行政書士としての仕事ができなくなってしまいます。
まとめ
「行政書士の登録料は高すぎる」と言われることがありますが、
行政書士登録にかからう費用は大体30万円前後です。
確かに安くはありませんが、「高すぎる」と言うほどの金額でもないように思います。
どうしても登録料が払えないのであれば、日本政策金融公庫などの創業融資を
利用するかお金が貯まるまで登録しないという選択もあります。
ただ試験合格後にブランクがあると、
後々行政書士として仕事をする際に何かと不都合があったりします。
ですから、私個人の意見としては、
融資を受けてでもすぐに行政書士登録した方が良いと思いますよ。
コメント