こんにちは、洋平です。
「建設キャリアアップシステム」に登録したいけど難しそうだし忙しくて手続きする時間が
無いといった場合には行政書士に代行してもらうのがおすすめです。
行政書士に代行を依頼したら報酬はどれぐらいになるのかなど建設キャリアアップシステムについて詳しく見ていきましょう。
建設キャリアアップシステム登録を代行してもらう場合の行政書士の報酬
建設キャリアアップシステムには事業者と技能者がそれぞれ登録するため、
事業者登録と技能者登録では行政書士の報酬が違っています。
事業者登録を行政書士に依頼した場合は2~5万円、技能者登録を依頼する場合は
1人当たり1~3万円ぐらいが報酬相場となっています。
ちなみに行政書士は各々が報酬を決める自由報酬のため、
全国一律の決まった報酬相場というものはありません。
決まった相場が無いので行政書士や地域によってバラつきがありますが、今回は
日本行政書士会連合会が行っている報酬に関する調査の結果を参考にしています。
日本行政書士会連合会の調査結果によると、
事業者登録の報酬は平均で37,504円、最頻値が33,000円です。
技能者登録は1人当たりの平均が16,699円、最頻値が22,000円となっています。
事業者登録より技能者登録の報酬の方が安くなっていますが、技能者登録は
1人当たりの報酬なのでまとめて代行を依頼すると金額が大きくなります。
ただまとめて技能者登録をする人数が多くなると、ボリュームディスカウントによって
1人当たりの報酬を安くしてくれる行政書士が多いです。
建設会社が技能者登録を行政書士に依頼する場合は、
ある程度人数をまとめることで費用が抑えられます。
事業者の規模によって報酬額が変わるケースも
行政書士によっては建設キャリアアップシステムの事業者登録の報酬を
事業者の規模によって変えているケースがあります。
事業者の規模が大きいほど報酬額も大きくなるのですが、これは「儲けているのだから
これぐらい払えるだろう」と事業者の足元を見ているわけではありません。
建設キャリアアップシステムの事業者登録手続きでは
・売上高
・完成工事高
・支店情報
などといったデータの入力が必要です。
事業者の規模が大きくなれば入力するデータ量も多くなって作業量が増えるので、
行政書士の報酬も作業量に比例して高くなるというわけです。
建設キャリアアップシステムの登録代行を得意としている行政書士ほど、
事業者の規模によって報酬額を変えているケースが多くなっています。
建設キャリアアップシステムは登録料と利用料もかかる
建設キャリアアップシステムに登録するには登録料、
利用するには利用料が行政書士の報酬とは別にかかります。
事業者登録にかかる登録料は以下の通りです。
・一人親方 0円
・個人事業主、資本金500万円未満 6,000円
・500万円以上1000万円未満 12,000円
・1000万円以上2000万円未満 24,000円
・2000万円以上5000万円未満 48,000円
・5000万円以上1億円未満 60,000円
・1億円以上3億円未満 120,000円
・3億円以上10億円未満 240,000円
・10億円以上50億円未満 480,000円
・50億円以上100億円未満 600,000円
・100億円以上500億円未満 1,200,000円
・500億円以上 2,400,000円
事業者の規模によって登録料が違っており、
規模が大きくなるほど登録料も高くなります。
技能者登録にかかる登録料は以下の通りです。
・簡略型 2,500円
・詳細型 4,900円
簡略型で登録して利用開始後に詳細型に変更することも可能ですが、
その場合は登録料の差額2,400円が必要となります。
また事業者登録をすると発行される管理者IDには
・一人親方 2,400円
・一人親方以外 11,400円
の利用料が1年ごとに発生します。
さらに事業者は現場でシステムを利用するための1日1人当たり10円の利用料金も
負担しなければいけません。
ちなみに事業者登録は5年に1度、技能者登録は10年に1度登録し直さないと
いけないのですが、再登録の際にも登録料が発生します。
技能者登録の簡略型と詳細型の違い
建設キャリアアップシステムの技能者登録には簡略型と詳細型の2種類があります。
技能者登録では
・本人情報
・所属事業者情報
・社会保険情報
・保有資格情報
などのデータを登録するのですが、簡略型では保有資格情報の登録が不要です。
要するに簡略型は登録するデータが少ないので必要な書類が少なく比較的手続きが
簡単となります。
ただ保有資格情報が不要な簡略型だとレベル判定が行えません。
レベル判定はその建設技能者がどの程度の技術・能力を有しているかを示すもので、
技能者自身や所属する事業者の評価に繋がります。
事業者の評価が高まれば受注拡大に繋がり、
結果的にその事業者に所属する技能者の報酬アップに繋がる可能性が高いです。
多少手間とお金がかかりますが、どうせ建設キャリアアップシステムの技能者登録を
するならレベル判定ができる詳細型を選ぶ方が良いでしょう。
建設キャリアアップシステムの登録は自分でもできる
建設キャリアアップシステムへの登録は行政書士に代行してもらわないと
できないわけではありません。
多少手間はかかるものの、
会社や個人でも建設キャリアアップシステムへの登録は可能です。
建設キャリアアップシステムの登録手順としては、まず建設キャリアアップシステム
公式サイトにアクセスして申請ページにログインします。
申請フォームに必要事項を入力して送信、入力した内容に問題が無ければ
登録したメールアドレスに登録料の請求書が送られてきます。
請求書に記載されている内容に従って登録料を支払うと登録完了、
ID・パスワード・建設キャリアアップカードが発行されるという流れです。
流れだけ見ると簡単そうですが、登録する前に登録した内容を裏付ける
・本人確認書類
・社会保険加入を証明する書類
・職歴や学歴、保有資格の証明書類
などを用意しておかないといけません。
また損益計算書などの書類を参照しないと入力できない項目もあり、
添付は不要でも登録情報入力のために用意しておくべき書類や資料もあります。
インターネットで登録申請する場合は添付書類はアップロードが必要ですから、
JPEG形式でパソコンやスマホに取り込んでおかないといけません。
建設キャリアアップシステムのような国や自治体への登録申請では、
1つでも不備があると登録作業をやり直すことになります。
建設キャリアアップシステムは他の登録申請と比べても難易度が高いとされており、
申請者の9割が何らかの不備で修正ややり直しを余儀なくされると言われています。
修正ややり直しをすることなくスムーズに登録を完了させるためには入念な準備が
必要で、登録作業自体よりもむしろ準備に手間と時間がかかるのです。
準備にかかる手間と時間を考えると業務と並行して行うのは難しく、
お金を払ってでも行政書士に依頼した方が簡単・確実というわけです。
事業者登録の入力事項
建設キャリアアップシステムの事業者登録を行う際に必要な入力事項を
いくつか紹介しておきます。
全て紹介したいのですが、あまりにも入力事項が多いので一部だけ紹介します。
事業者登録を行う際にはまず事業者情報として
・事業者名(商号や屋号など)
・代表者名
・所在地
などの入力が必要です。
建設業許可を取得している場合には建設業許可番号で検索すると一部の項目が
自動入力されるので利用しましょう。
事業者情報を入力したら、入力した事業者情報が正しいことを証明する
建設業許可証明書などの必要書類をアップロードします。
次に
・資本金
・売上高
・完成工事高
といった事業者の経営状況に関する情報を入力します。
システム利用の窓口となる「登録責任者」や業種、支店の情報の入力も必要です。
健康保険・年金保険・雇用保険の加入状況などの情報を入力し、
保険の加入証明書をアップロードします。
続いて
・建設業退職金共済制度(建退共)
・中小企業退職金共済制度
・労災保険特別加入
などの加入状況も入力事項となっています。
さらに
・CI-NET(建設産業ネットワーク)利用の有無
・電子証明書の種類
・主要取引先
・表彰履歴
・所属団体
などといった情報も建設キャリアアップシステムの事業者登録では必要です。
今すぐに分かる情報から調べないと分からない情報、場合によっては経営者でも
把握しきれていない情報まで入力しなければなりません。
建設キャリアアップシステムの事業者登録をスムーズに行うための準備に
どのぐらいの手間と時間がかかるかある程度想像できたのではないでしょうか。
技能者登録を個人で行うのはかなり難しい
技能者登録は技能者本人に代わって所属している事業者が代行申請するのが
一般的です。
建設キャリアアップシステムの技能者登録を個人で申請するのはかなりハードルが
高いため、所属事業者が代行するのが一般的となっています。
技能者登録申請の入力項目は事業者登録と大まかには同じで、資本金など
経営に関する情報の代わりに学歴や職歴、保有資格の情報を入力するぐらいです。
所属事業者が建設業許可を取っている場合は
・許可番号
・許可番号種類
・許可番号種別
・許可番号年
などを技能者登録でも入力しなければいけません。
事業者側でも建設業許可証明書を参照しないと入力できない情報ですし、
従業員にとっては普通に働く分には不要で知りえない情報です。
事業者IDを使えば自動入力されますが、従業員全員に事業者IDや建設業許可の
情報を教えるのは事業者にとってリスクがあります。
IDや許可に関する情報漏えいのリスクを考えると、多少手間はかかっても
事業者側が従業員の技能者登録を代行するケースが多いわけです。
一人親方や個人事業主は事業者登録も必要
一人親方や個人事業主が建設キャリアアップシステムを利用する場合は、
基本的に技能者登録とともに事業者登録が必要です。
建設キャリアアップシステムの利用には事業者IDが必要で、
事業者IDは事業者登録をしないと取得できません。
建設会社などに雇用されている従業員は、
会社が事業者IDを取得しているので技能者登録のみでOKです。
一人親方や個人事業主で請負契約で仕事を行っている場合は
事業者登録と技能者登録の両方が必要なのです。
期間工のように工事期間のみ従業員として業務に従事する場合は、
技能者登録のみで事業者登録が不要なケースもあります。
行政書士も建設キャリアアップシステムの事業者登録が可能
建設キャリアアップシステムの事業者登録は基本的に建設業に携わる事業者が
行うものですが、実は行政書士も事業者登録ができるようになっています。
建設キャリアアップシステムが始まった当初は行政書士は事業者登録ができず、
申請代行業務では依頼者にIDを教えてもらう必要がありました。
いくら申請代行のためとは言え、
事業者側からすると行政書士に事業者IDを教えるのには一抹の不安があります。
行政書士が業務上知りえた情報を悪用することはありませんが、
そうした不安から行政書士に代行を依頼するのを躊躇うケースもあったのです。
現在は行政書士も事業者登録ができるようになっており、
行政書士自身が取得した事業者IDを使って申請代行業務が行えます。
建設キャリアアップシステムの申請代行を得意としている行政書士は
既に事業者IDを持っている可能性が十分にあります。
事業者側が取得した事業者IDを教えなくても申請代行してもらえるようになったので、
行政書士へ依頼するハードルが低くなったと感じている事業者も多いはずです。
建設キャリアアップシステムへの登録は必須ではないが・・・
個人であれ事業者であれ建設業に携わっているからと言って、
必ず建設キャリアアップシステムに登録しないといけないわけではありません。
ただ元々は建設業界からの要望を元に作られたシステムですから、
建設業界全体で利用が推進されています。
下請業者は元請業者から建設キャリアアップシステムへの登録を要請されることも
多いですし、何より事業者にも従業員にメリットがあるので登録した方が良いです。
事業者のメリットとしては
・実績
・技能者の数
・社会保険の加入状況
など建設業者としての能力や取り組み姿勢が見えやすくなります。
施工主や元請業者は能力が高くて信用できる事業者に発注したいです。
能力があって業務に真剣に取り組んでいる事業者が建設キャリアアップシステムに
登録することで施工主や元請業者からの発注が増える可能性が多いにあります。
また一部の自治体では建設キャリアアップシステムの登録が
公共事業の加点項目となっています。
建設キャリアアップシステムに登録するだけで
公共事業の入札に参加しやすくなるのです。
技能者は自分のキャリアが見える形となるので待遇改善にも繋がりますし、
転職の際に自己アピールするのに困りません。
保険の加入漏れや建退共の掛け金漏れといった心配も無くなりますので、
技能者にとっても建設キャリアアップシステムへの登録はメリットが大きいです。
まとめ
建設キャリアアップシステムへの登録代行を行政書士に依頼するには
・事業者登録 2~5万円
・技能者登録(1人当たり) 1~3万円
程度の報酬が必要となります。
建設キャリアアップシステムへの登録は、
建設業許可申請ほどではないもののかなりハードルの高い手続きです。
手続きにかかる手間と時間を考えると行政書士への報酬はそれほど高くないので、
建設キャリアアップシステムへの登録は行政書士に依頼するのがおすすめです。