こんにちは、洋平です。
今回は、行政書士会の年会費を払わないとどうなるかについて詳しく見ていきましょう。
行政書士会の年会費を払わないとどうなる?
行政書士会の年会費を払わないと、最悪の場合は行政書士としての仕事ができなくなる恐れがあります。
資格を取得して「行政書士」として開業するには、各地域の「行政書士会」に登録する必要があるんですね。
登録するだけで良いなら問題ないんですが、行政書士会に登録すると「年会費」を支払わないといけません。
地域ごとに年会費の金額は違うんですが、大体6~7万円ぐらいは年会費として払うことになります。
行政書士の仕事が軌道に乗ってある程度収入があれば、年間6~7万円の出費はそれほど痛くないです。
ところが行政書士として開業したばかりで収入が安定していないと、年間6~7万円の出費すら「惜しい」と感じますよね。
だからと言って、行政書士会の年会費を払わないでいると、行政書士を廃業に追い込まれる危険性があるんです。
年会費を払わないと、まず登録している行政書士会から「年会費を納付してください」という通知が来ます。
その通知を無視し続けていると、登録している行政書士会の「会員資格停止」の処分が下されます。
それでも年会費を払わないと、「会員権停止」の処分が下されるとともに「廃業勧告」が出されてしまいます。
「会員資格停止」では行政書士としてまだ仕事はできますが、「会員権停止」になると行政書士としての仕事ができなくなります。
そして「廃業勧告」が出された以上は、「会員権停止」が解除されたとしても行政書士会に復帰するのは難しいんですね。
行政書士会に登録していないと行政書士として仕事ができません。
なので行政書士会の年会費を払わないと、結果的には行政書士として仕事ができなくなる可能性が高いですよ。
会員資格が停止されるとどうなる?
年会費を払わない行政書士に対しては「会員権停止」「廃業勧告」の前に、「会員資格停止」の処分が下されます。
先にも書いたように、「会員資格停止」の段階では行政書士としての仕事ができなくなることはありません。
では「会員資格停止」の処分を受けると、どういった不利益があるのでしょうか?
会員資格停止で発生する一番大きな影響は、登録している行政書士会が開催する「研修に参加できない」ことです。
「研修なんて面倒だし、参加できなくても良いじゃん」と思う人も居るかもしれません。
しかし行政書士会が開催する研修に参加することは、行政書士として仕事をする上では欠かせないことなんですよ。
普通に生活している分にはあまり気付きませんが、国会では色んな法律の改正が行われています。
行政書士は依頼者に代わって行政手続きを行うのが主な仕事です。
法律が改正されるごとに、行政手続きの方法や必要書類などが細かく変わります。
行政書士会の研修では、法律改正が行政書士の仕事にどういった影響を与えるかを教えてくれるんです。
法律の中身や改正に伴う変更点などは、独学ではなかなか理解しきれない部分も多いんですよね。
ですから、法律改正の影響を受けずに行政書士の仕事を円滑に進めるには、研修への参加が必須というわけです。
年会費を払わないで会員資格が停止されて研修に参加できないのは、実は行政書士にとってはかなり大きなことなんですよ。
行政書士会の支部会費を払わないとどうなる?
行政書士になるには、各都道府県の行政書士会に登録することになります。
各都道府県の行政書士会には地域ごとに「支部」があって、実質的にはその支部に所属することになるんですね。
その支部にも会費があり、都道府県の行政書士会の年会費とは別に年間10,000円程度の支部会費を払わないといけません。
行政書士会の年会費を払わないと最悪廃業に追い込まれますが、支部会費を払わないとどうなるのでしょうか?
支部会費を払わないからと言って、行政書士としての仕事ができなくなることはありません。
行政書士会が開催する研修などについては、支部を通して連絡が入り、参加も支部を通して申し込みます。
支部会費を払わないと、都道府県の行政書士会が開催する研修への参加申し込みができなくなってしまいます。
さらには、支部を通して振り分けられる仕事もあるんですが、支部を通す仕事も回ってきません。
支部会費の支払は、行政書士の身分には大きな影響を与えません。
しかし実際に行政書士として仕事をする上では大きな影響があるので、なるべくなら支部会費も払った方が良いですね。
最初から行政書士会に入らないという選択はできる?
年会費を払わないと廃業に追い込まれる恐れがあるなら、「最初から行政書士会に入らなければ良い」と思いますよね。
もちろん行政書士の資格を取ったからと言って、行政書士会に登録しなければいけないわけではありません。
ただ行政書士として仕事をするのであれば、「行政書士会に入らない」という選択はありえないです。
行政書士は「行政書士法」という法律で、身分が守られていたり、仕事の内容が決められていたりします。
その行政書士法の第6条に「(前略)行政書士となるには、(中略)日本行政書士会連合会の会則に定める事項の登録を受けなければならない」と書かれているんです。
要するに、「行政書士会に登録しないと行政書士として仕事はできない」と法律によって定められているというわけです。
資格を取っただけで行政書士の仕事をしないのであれば、行政書士会に登録しなくても問題ありません。
しかし行政書士として開業するんだったら、行政書士会に登録して年会費を払わないといけないんですね。
横の繋がりを広める意味合いも
行政書士会に登録することは行政書士として仕事するのに必要であるとともに、「横の繋がりを広める」意味合いもあるんです。
自分が行政書士に仕事をお願いする側になって考えてみてください。
昨日今日開業したばかりの行政書士と開業して10年以上の行政書士、どちらに仕事をお願いしますか?
特に根拠は無いものの、何となく10年以上の経歴を持つ行政書士の方が安心して仕事を任せられそうですよね。
実際に「行政書士の良し悪し」なんて分からないので、「何となく安心」とか「何となく信用できる」で選ぶことになります。
そうすると開業しても仕事の依頼が入らず、実績を積もうにも積めない状況になってしまいます。
行政書士会の研修などに参加して横の繋がりを広げておけば、他の行政書士などから仕事を回してもらえる可能性があります。
回してもらった仕事を着実にこなして実績を作り、やがて自分で仕事が取れる「一人前の行政書士」になっていくんですよ。
ですから、年会費を払わないといけないのは痛いですが、最初の内こそ行政書士会で横の繋がりを作ることが重要になるわけです。
行政書士会に登録しないと「行政書士」を名乗れない
資格を持っていても行政書士会に登録していないと、「行政書士」という肩書が使えません。
これも行政書士法で、行政書士でないものが行政書士や行政書士と混同するような名称を使ってはいけないと定められています。
ですから、行政書士会に登録せずに名刺や履歴書に「行政書士」とか「行政書士有資格者」と書くのはダメなんです。
せいぜい「行政書士試験合格者」ぐらいの表現が限界です。
せっかく難関試験を突破して資格を取ったのに行政書士を名乗れないなら、行政書士会に入った方が良いですよね。
ちなみに、行政書士会に登録せずに行政書士を名乗ると100万円以下の罰金を払うことになるので注意しましょう。
行政書士会に登録するには
行政書士の仕事をするのに必要な「行政書士会への登録」はどうすれば良いのでしょうか?
まず必要書類を各都道府県の行政書士会に提出、審査・調査を経て日本行政書士会連合会に登録されます。
そして日本行政書士会連合会から都道府県の行政書士会を通じて、
・通知書
・登録証
・行政書士証票
が交付されるといった流れですね。
過去に年会費未納で廃業勧告を受けているなど、申請しても行政書士会への登録が認められないケースもありますよ。
行政書士会への登録に必要な書類
行政書士会に登録する場合には、まず必要な書類を各都道府県の行政書士会に提出しなければいけません。
基本的には、事務所を置く都道府県の行政書士会に登録することになりますよ。
行政書士会への登録に必要な書類は
・行政書士登録申請書
・履歴書
・誓約書
・住民票(本籍地記載)
・身分証明書
・顔写真(無帽、正面、上三分身、無背景、3cm×2.5cm)
となっています。
住民票と身分証明書、顔写真は提出日の3か月以前に交付もしくは撮影したものでないといけません。
行政書士登録申請書は、各都道府県の行政書士会や各支部で手に入りますし、日本行政書士会連合会の公式サイトでダウンロードもできます。
また場合によっては、
・戸籍抄本
・公務員職歴証明書
・雇用契約書
などの提出も求められる可能性があります。
提出が必要な書類については、各都道府県の行政書士会や支部に問い合わせてください。
必要書類提出と同時に、
・入会金
・登録手数料
・年会費
・収入印紙代
・政治連盟会費
などを支払うことになります。
年会費以外は基本的に一括支払いで、年会費は3か月分を前払いします。
金額は各都道府県の行政書士会ごとに違いますが、東京都だと
・入会金・・・200,000円
・登録手数料・・・25,000円
・年会費・・・72,000円(月6,000円)
・収入印紙代・・・30,000円
・政治連盟会費・・・3,000円
で、登録時には30万円近い費用が必要なんですね。
事務所の調査
必要な書類を提出すると、各都道府県の行政書士会で審査が行われます。
主な審査の内容は書類審査と事務所の立ち入り調査です。
書類審査では、提出された書類に不備が無いか、行政書士に相応しくない内容が含まれていないかが見られます。
事務所の立ち入り調査では、建物が「行政書士の事務所として使うのに相応しいか」が見られるんですね。
具体的には
・応接スペースと事務スペースの確保
・応接スペースは相談内容が他人に聞こえないように配慮がなされているか
・個人情報を厳重に保管できる環境になっているか
といったことを調査されます。
もちろん自宅を事務所として使うのはOKですが、先に挙げたようなポイントをクリアしている必要がありますよ。
立ち入り調査の時点で行政書士の仕事がすぐにできる状況になっていないと、審査をパスできない可能性が高いです。
全ての審査が終わるのに1~2か月かかる
各都道府県の行政書士会での審査・調査が終わると、日本行政書士会連合会に書類が送られてさらに審査されることとなります。
書類を提出してから、日本行政書士会連合会の審査が終わるまで大体1~2か月はかかると思っておきましょう。
行政書士は高度な個人情報を取り扱う仕事です。
そのため資格を持っているからと言って、誰でも簡単に行政書士の仕事をさせられないんですね。
従って行政書士会への登録の審査は非常に慎重に行われるので、結果が出るまでに少なくとも1か月、長いと2か月ぐらいかかるというわけです。
提出書類に不備があったりすると、さらに結果が出るまでに時間がかかってしまいます。
少しでも審査期間を短くしたいなら、提出が必要な書類をしっかりと確認して、不備の無いようにしましょう。
行政書士会に登録するための資金が無い!
行政書士会に登録するには入会金なども含めて30万円近い資金が必要です。
30万円と言うと結構な大金ですから、手元にそれだけの「お金が無い」ということも少なからずあると思います。
もちろん、行政書士開業資金が貯まるまでアルバイトなど他の仕事をするのも1つの選択肢です。
しかし「すぐにでも開業したい」という場合は、「創業融資」を利用するのが良いんじゃないでしょうか。
日本政策金融公庫には新規開業時に利用できる融資制度があります。
返済金利が2%台で、返済期間を最大5年まで伸ばすことができるようになっています。
そのため、一般の金融機関で融資を受けるよりも返済が楽なんですね。
また金融機関で融資を受ける際には「事業計画書」の作成が必要ですが、これ行政書士の仕事です。
行政書士になると、必ず事業計画書を作成するような仕事が入ってきます。
その時のためのリハーサルじゃありませんが、自分の融資で事業計画書を作るのも1つの経験ですよ。
まとめ
行政書士会の年会費を払わないと、最終的には廃業勧告が出されて行政書士廃業に追い込まれてしまいます。
ですから、行政書士として仕事をする限りは「行政書士会の年会費を払わない」という選択肢はありませんよ。
行政書士会の支部に払う支部会費については、払わなくても廃業に追い込まれる心配は無いです。
ただ、廃業に追い込まれなくても、行政書士の仕事には大きな影響が出る恐れがあります。
なので行政書士として仕事をするのであれば、「会費」というものは基本的にちゃんと払った方が良いですよ。
コメント