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行政書士に産廃棄業許可申請をした場合の報酬相場

こんにちは、洋平です。

建築現場などから出る「産業廃棄物」を処分するのはもちろん運搬するのにも
許可が必要で、その申請は行政書士に依頼するのが一般的です。

今回は行政書士に依頼した場合の報酬相場や申請から開業まで
どういった流れになるのかなど産廃棄業許可申請について詳しく見ていきましょう。

産廃棄業許可には4種類ある

一般的に「産業廃棄物処理業者」と一括りにされることが多いですが、
産業廃棄物に関する許可は以下の4種類に分かれています。
 ・産業廃棄物収集運搬業
 ・産業廃棄物処分業
 ・特別管理産業廃棄物収集運搬業
 ・特別管理産業廃棄物処分業

産業廃棄物は事業活動によって生じた廃棄物いわゆるゴミを指し、
具体的には紙くずや木くず、金属くず、ガラスくず、廃油などです。

特別管理産業廃棄物は産業廃棄物の中でも特に取り扱いに注意が必要なものを
指します。

具体的には灯油や軽油など可燃性の廃油、酸性・アルカリ性濃度の高い廃液、
血液など感染性病原体が付着している恐れがある注射器や採血管などです。

産業廃棄物でもどういった種類のものを取り扱うのか、
収集運搬するだけなのか処分をするのかによって申請する許可が変わってきます。

収集運搬の仕方や処分方法で細かく区分されている

産業廃棄物の処理に関する許可は大きく分けると先の4種類ですが、
それぞれさらに細かく区分されているのです。

収集運搬業は収集した産業廃棄物を処分場に運搬するだけなのか、収集した
産業廃棄物をいったん保管してから処分場に運搬するのかで許可の種類が変わります。

処分業に関しても産業廃棄物を焼却・破砕する中間処理と
中間処理された産業廃棄物を埋め立てる最終処分に分かれています。

通常の産業廃棄物と特別管理産業廃棄物でそれぞれ区分されているので、
細かく言うと産廃棄業許可は全部で8種類です。

産廃棄業許可の有効期限は5年

国や自治体に申請する許可や登録には有効期限の無いものもありますが、
産業廃棄物の処理に関する許可には5年の有効期限があります。

産業廃棄物の処理に関する業務を続けるのであれば、
有効期限内に更新申請を行わなければいけません。

国や自治体への申請は処理に時間がかかりますから、
有効期限が切れるまでに新しい許可が貰えるように早めに申請するのがベターです。

ただし有効期限内に更新申請をしておけば、有効期限内に新しい許可が貰えなくても
産業廃棄物の処理に関する業務を続けることは可能です。

有効期限内に更新申請をしていないと有効期限が切れた時点で無許可営業となり、
産業廃棄物を排出した業者とともに罰則を受けるので注意しましょう。

産廃棄業許可申請を複数の都道府県で行う必要があるケースも

事業を行うのに必要な許可や登録は、
基本的に事業を行う都道府県に申請すればOKです。

ところが産業廃棄物の処理に関する許可は複数の都道府県で申請を行わないと
いけないケースもあります。

処分業は複数の都道府県で申請するケースはほとんどありませんが、
収集運搬業は複数の都道府県で申請が必要なケースが少なくないです。

例えば東京で収集した産業廃棄物を千葉にある処理場まで運ぶ場合には、
収集先の東京と運搬先の千葉2つの許可が必要なのです。

東京に営業所があって埼玉で産業廃棄物を収集して千葉に運ぶとなると、
東京・埼玉・千葉3都県で許可申請をしなければいけません。

行政書士に依頼する場合は1つの許可申請に対して報酬が発生するので、
複数の都道府県で申請が必要な場合は報酬額が2倍3倍となるので注意しましょう。

産廃棄業許可申請を行政書士に依頼する場合の報酬相場

産業廃棄物の処理に関する許可申請を行政書士に依頼する場合の報酬相場を
許可の種類ごとに詳しく紹介します。

ただ行政書士の報酬には一定の基準があるわけではなく、
各々の行政書士が自由に報酬額を決めています。

全国に個人・法人合わせて5万人以上の行政書士が居ますから、
全ての報酬額をチェックして相場を算定するのはほぼ無理です。

日本行政書士会連合会が5年に1度報酬に関する調査を行っており、
今回はその調査結果を元に産廃棄業許可の報酬相場を算定したいと思います。

直近2020年度の調査によると、産業廃棄物収集運搬業許可の報酬相場は
 ・保管なし 平均111,643円 最頻値110,000円
 ・保管あり 平均216,432円 最頻値150,000円
となっています。

保管ありの方が申請に手間がかかるのか、
保管なしの許可申請を依頼する場合よりも報酬が平均10万円ほど高いですね。

産業廃棄物処分業許可の報酬相場は
 ・中間処理 平均658,703円 最頻値150,000円
 ・最終処分 平均1,346,464円
となっています。

収集運搬だけよりも処分する方が要件が厳しく申請のハードルが高いようで、
収集運搬業許可よりも報酬額が大幅に高額です。

特別管理産業廃棄物の許可申請の報酬相場

取り扱いに注意が必要な特別管理産業廃棄物の収集運搬業許可の報酬相場は
 ・保管なし 平均138,454円 最頻値150,000円
 ・保管あり 平均342,143円
となります。

通常の産業廃棄物よりも取り扱いが難しいため要件が厳しく申請ハードルが高いので、
行政書士の報酬も通常の産業廃棄物の収集運搬業許可申請より高いです。

特別管理産業廃棄物処分業許可の報酬相場は
 ・中間処理 平均2,500,000円
 ・最終処分 平均6,000,000円
となっています。

通常の産業廃棄物処分と比べて文字通り桁違いの高額ですが、特別管理産業廃棄物
処分業許可の報酬についての回答はそれぞれ1件しかありませんでした。

回答が1件のみなので桁違いの高額となっていますが、
実際にはもう少し低報酬で引き受けてくれる行政書士事務所もあります。

通常の産業廃棄物処分業許可より少し高いぐらいのところもあり、必ずしも
特別管理産業廃棄物処分業許可申請に100万円以上かかるわけではありません。

産廃棄業許可更新にかかる報酬相場

産業廃棄物の処理に関する許可は有効期限5年ですから、
5年ごとに更新申請が必要です。

産廃棄業許可の更新を行政書士に依頼した場合の報酬相場は、収集運搬業許可だと
 ・保管なし 平均88,347円 最頻値88,000円
 ・保管あり 平均121,147円 最頻値150,000円
となっています。

処分業だと
 ・中間処理 平均193,694円 最頻値100,000円、300,000円
 ・最終処分 平均594,333円
となります。

特別管理産業廃棄物収集運搬業許可の更新にかかる報酬相場は以下の通りです。
 ・保管なし 平均107,674円 最頻値100,000円
 ・保管あり 平均161,625円 最頻値70,000円

特別管理産業廃棄物処分業許可の更新では
 ・中間処理 平均375,000円
 ・最終処分 平均600,000円
となっています。

新規申請の場合よりも報酬相場は低いですが、
処分業に関しては更新でも行政書士に依頼するとそれなりの報酬を請求されます。

産廃棄業変更許可申請の報酬相場

産業廃棄物の処理に関する業務に変更が生じる場合には、
事前に変更許可申請が必要です。

変更許可申請を行政書士に依頼した場合の報酬相場は、収集運搬業許可では
 ・保管なし 平均63,687円 最頻値100,000円
 ・保管あり 平均127,718円 最頻値50,000円、99,000円
となっています。

処分許可の変更申請を依頼する場合の報酬相場は以下の通りです。
 ・中間処理 平均375,311円 最頻値200,000円、550,000円
 ・最終処分 平均606,400円

特別管理産業廃棄物収集運搬業の変更許可申請の報酬相場は以下の通りです。
 ・保管なし 平均80,333円 最頻値70,000円
 ・保管あり 平均280,000円

特別管理産業廃棄物処分業の変更許可申請では
 ・中間処理 平均1,025,000円
 ・最終処分 平均2,000,000円
となっています。

特別管理産業廃棄物処分業の変更許可申請については回答が1~2件なので
あまり参考にならないかもしれません。

事前の変更許可申請が必要なのは取り扱う産業廃棄物の種類と処分方法に変更が
ある場合だけです。

事業所の名称や住所、役員、運搬に使う車両などの変更は軽微な変更として
事後に変更届を提出すればOKです。

産廃棄業許可申請でクリアするべき要件

産業廃棄物の処理に関する許可の申請は誰でもできるわけではなく、
一定の要件をクリアしていないと申請ができません。

産廃棄業許可申請でクリアするべき要件は大きく分けて5つあります。

1つ目は「申請者が欠格事由に該当していないこと」です。

産廃棄業許可申請に設けられている欠格事由は
 ・反社会的組織と関わりがある
 ・5年以内に禁固以上の刑罰を受けている(執行猶予を含む)
 ・5年以内に産業廃棄物に関する法律に違反して罰金以上の刑罰を受けている
 (執行猶予を含む)
 ・5年以内に廃棄物収集運搬・処理業の許可を取り消されている
などです。

個人事業主は申請者本人、
法人は役員・株主の内の1人でも欠格事由に該当すると申請できません。

講習会の受講・修了

産廃棄業許可申請でクリアすべき要件2つ目は「講習会の受講・修了」です。

国や自治体に業務に関する許可や登録を受ける場合には、
正しく業務を行うのに必要な知識や技術を有していることが求められます。

他の許可や登録では一定期間以上の実務経験があればOKなケースもありますが、
産廃棄業許可では講習会の受講・修了が必須要件となっています。

産業廃棄物の処理に関する許可を申請する際には、日本産業廃棄物処理振興
センター(JWセンター)が行っている講習会の受講・修了しておきましょう。

個人事業主は申請者本人、
法人は産業廃棄物の処理業務に関わる役員の受講・修了が必要です。

新規申請の際だけでなく更新申請の際にも
改めて更新講習を受講・修了しておかないといけません。

ちなみに講習会の受講にかかる費用は
 ・収集運搬業許可 30,500円
 ・処分業許可 48,700円
 ・両方 68,100円
 ・特別管理産業廃棄物収集運搬業許可 46,600円
 ・特別管理産業廃棄物処分業許可 68,800円
 ・両方 98,900円
となっています。

業務を行う施設の整備

3つ目の要件は
「産業廃棄物の処理に関する業務を行う施設が整備されていること」です。

業務を行う施設は、収集運搬業許可では産業廃棄物を運ぶ車両や船舶、
産業廃棄物を入れる容器、加えて駐車施設や洗車施設です。

処分業許可では産業廃棄物の中間処理や最終処分を行う処理施設を指します。

取り扱う産業廃棄物の種類に適した施設で、粉塵の飛散や汚濁液の流出・浸透、
振動・騒音・悪臭の漏出などを防ぐ措置が講じられていなければいけません。

事業計画の作成

4つ目の要件は「産業廃棄物の処理業務に関する事業計画を作成していること」です。

産廃棄業許可申請の必要書類の1つに「事業計画書の概要」があるので、
事業計画を作っていないと申請ができません。

事業計画には取り扱う産業廃棄物の品目も含まれており、
申請時点で取り扱える産業廃棄物の種類が決まってしまいます。

適当に事業計画を作ると取り扱いたい産業廃棄物が取り扱えないことに
なりかねません。

事業計画を作成する段階から行政書士に協力してもらうか、
許可申請の提出先である自治体の担当者に相談した方が良いですよ。

経理的基礎の有無

5つ目の要件は「経理的基礎を有していること」です。

産廃棄業許可の有効期限は5年ですから、
少なくとも5年間は業務が継続できる経済的な体力を持っておく必要があります。

簡単に言うと5年間は破産・倒産しないだけの経済力があるかどうかということです。

どのぐらいの経済力を持っていれば良いのかという明確な基準はありませんが、
 ・数年に渡って事業利益が計上されていない
 ・現状で債務超過に陥っている
といった状況だと申請しても許可が下りない可能性が高いですね。

ただ利益が上がっておらず債務超過に陥っていても、
しっかりとした事業計画が立てられているなら許可が下りることもあります。

産廃棄業許可の申請では事業計画が占める役割は小さくないので、
やはりできれば行政書士の協力を得て事業計画を立てるのがベターです。

産廃棄業許可申請の流れと期間

産業廃棄物の処理に関する許可を申請する場合の流れとしては、
まずJWセンターの講習会を受講して修了証を貰います。

修了証を含めた申請に必要な書類を収集・作成して、
提出先となると都道府県窓口に申請の予約を入れましょう。

都道府県によっては書類の不備をチェックする事前審査があったり、
手数料分の収入印紙を貼付した用紙の提出を求められるケースもあります。

ちなみに産廃棄業許可申請で都道府県に支払う手数料は全国一律で81,000円で、
複数の都道府県で申請する場合はそれぞれの都道府県で手数料が発生します。

窓口まで申請書類を持って行かなくても郵送で受け付けてもらえることもあるので、
申請書類の提出については都道府県の担当者に確認してください。

申請書類を提出したら審査が行われて、審査をパスすれば産廃棄業の許可証が
交付され、パスできないと「不交付決定通知書」が送られてきます。

産廃棄業許可申請の標準処理期間は40~60日ですから、
遅くとも申請してから2か月以内には結果が分かりますよ。

まとめ

産廃棄業許可申請について行政書士に依頼した場合の報酬相場や申請の流れなどを
詳しく見てきました。

産廃棄業許可申請自体はそれほど難易度の高いものではありません。

ただ申請に必要な書類は数が多いですし、
申請するのにクリアしておくべき要件にも自己判断が難しいものがあります。

確実かつ迅速に産廃棄業許可を受けるのであれば、多少費用はかかりますが
準備段階から行政書士に協力してもらうのがおすすめですよ。

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