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NPO法人設立を行政書士に依頼した場合の報酬相場は?

こんにちは、洋平です。

ボランティア活動など社会貢献活動を行う「NPO法人」、
その設立手続きは行政書士にサポート・代行を依頼できます。

NPO法人設立にはどのような手続きが必要なのか、行政書士にサポート・代行を
依頼した場合の報酬相場はどのぐらいかなどについて詳しく見ていきましょう。

そもそもNPO法人とは何?

「NPO法人」という言葉はよく耳にしますが、NPO法人がどういったものなのか
具体的には分かっていないことも多いのではないでしょうか。

NPOは「Non Profit Organization」の略で、日本で言うと「非営利団体」です。

非営利つまり利益を求めない活動を行う団体のため、一般的にはボランティア関連の
団体がNPO法人格を取っているケースが多くなっています。

NPO法人の中には一切の営利活動を行っていないところもあるでしょうが、
「NPO法人=儲けていけない」わけではありません。

営利活動を主たる目的としてはいけないだけで、主たる目的であるNPO活動の費用を
捻出するためという従の目的で営利活動を行うことはOKです。

営利活動で得た収益はNPO法人として活動資金に回さなければならず、
役員や職員の報酬に回すことは基本的はできません。

ただ実際にはNPO法人の役員は職員はタダ働きをしているわけではなく、
収益の一部も役員や職員の報酬として使われています。

役員や職員の報酬に使えるのはあくまで一部で、
営利活動の収益の7割以上は活動資金として使うのが一般的です。

利益を求めない活動をメインに行うという広い意味でNPOを捉えると、
各種協同組合や学校などもNPOに該当します。

実際には協同組合も学校もNPO法人ではありませんが、
利益を求めないという点においてはNPO法人と同じです。

NPO法人を作る意味は?

利益を求めない団体ならNPO法人格を取らなくて活動に支障はありませんが、
NPO法人格を取ることにはそれなりのメリットがあります。

まず第一にNPO法人となることで団体の対外的な信用が高まることが挙げられます。

ボランティアなどの活動を行うにはそれなりに費用がかかりますし、
団体の運営に関わる職員には報酬を支払わないといけません。

団体の活動費用や職員の報酬は、
営利活動の収益だけでなく会費や寄付によって賄われているのです。

単なる任意団体では、いくら意義のある活動を行っているとしても
社会的信用を得ることは簡単ではありません。

NPO法人という肩書が付いた団体であれば、それだけである程度信用してもらえますし、
活動内容を知ってもらえるとさらに信用を深められます。

信用が得られれば会員数が増えて会費収入が増えますし、
企業などからの寄付も期待できるようになります。

利益を求めない活動でも行うのにはお金がかかりますから、
活動費用を得やすくするためにはNPO法人格の取得は重要なのです。

法人として登記や契約ができる

NPO法人を作るメリットとしてもう1つ挙げられるのが
「法人として登記や契約ができること」です。

NPO法人になると団体名で不動産や自動車などを購入したり、
銀行口座を作るなどといったことができるようになります。

任意団体だと団体名で不動産などを購入することはできず、
銀行口座も団体名では作れません。

不動産や自動車などは団体の資産で、
これを個人名義で購入すると後々トラブルに発展する恐れがあります。

銀行口座が個人名だと「ひょっとして活動実態が無いのでは?」と疑われて、
会員や寄付を募ることが難しくなります。

不動産や自動車などが法人名義になっていれば、
代表者や役員が交代しても所有権についてトラブルが起こることはありません。

法人名義の銀行口座だと団体としての活動を怪しまれることもほとんどなく、
会費や寄付を集めやすくなるのです。

国や自治体が行っている補助金事業や助成金事業も利用しやすくなりますし、
さらに税金の面でも優遇が受けられます。

NPO法人は法人住民税が免除され、会費や寄付金は課税対象になりませんし、
NPO法人に寄付した人も所得税が優遇されます。

ある程度の社会的信用を得られるのと同じぐらい、
法人として登記や契約ができて税制面の優遇が受けられるのは大きなメリットですね。

NPO法人設立の流れ

株式会社を設立するのに特段要件はありませんが、
NPO法人設立にはいくつかの要件をクリアしておく必要があります。

まず1つに「営利、宗教、政治活動を主たる目的としないこと」です。

NPO法人は非営利団体ですから営利を目的としないのは当然ですが、
宗教や政治に関する活動も主な目的としてはいけません。

宗教活動を主たる目的とするなら宗教法人、
政治活動が目的なら一般財団法人などそれぞれの活動に見合った法人格が必要です。

2つ目は構成員に関する要件で、正会員が10人以上でかつ理事が3人以上、
幹事が1人以上居ることです。

株式会社は社長1人しか居なくても設立できますが、
NPO法人は設立段階で10人以上の団体でないといけません。

NPO法人を設立してから活動を始めると言うよりは、任意団体として活動していて
NPO法人に移行するといったケースが多いのかもしれないですね。

3つ目は「反社会的勢力やその関係者の統制下にないこと」です。

株式会社や合同会社は反社会的勢力のフロント企業として設立が可能ですが、
NPO法人はそういったことはできません。

これからNPO法人設立を目指しているのであれば、
まずはこの3つの要件を満たしているかを確認しておきましょう。

NPO法人設立の手続き

NPO法人としての要件をクリアしたら次はNPO法人設立の手続きに入りますが、
いきなり設立を申請して登記というわけにはいきません。

設立申請をする前にNPO法人設立の手続きに入るための準備が必要です。

まず設立に関わる主要メンバーが集まって
 ・設立趣意書
 ・定款
 ・事業計画書
 ・活動予算書
などNPO法人設立の手続きに必要な書類のたたき台を作ります。

書類のたたき台ができたら、
NPO法人設立に関わる全てのメンバーを集めて設立総会を開催します。

設立申請では総会の議事録も必要ですから、
総会前に議事録を作成する準備もしておきましょう。

総会ではNPO法人設立の決定、主要メンバーが作った書類のたたき台について
協議して正式採択したらNPO法人設立の準備の準備が完了です。

総会の次はNPO法人設立申請に必要な書類を正式な書式に則って作っていきます。

NPO法人設立申請に必要な書類は
 ・設立認証申請書
 ・定款(2部)
 ・役員名簿と報酬を受け取る役員の名簿(2部)
 ・役員全員の就任承諾書と宣誓書の写し
 ・住民票など役員の住所を証明する書類
 ・社員名簿
 ・確認書
 ・設立趣意書(2部)
 ・設立総会の議事録の写し
 ・事業計画書(設立初年度分と翌年度分をそれぞれ2部ずつ)
 ・活動予算書(設立初年度分と翌年度分をそれぞれ2部ずつ)
となります。

申請する都道府県や自治体によって多少違うこともあるので、
申請に必要な書類については各所轄庁に確認してください。

申請書類提出から設立登記完了まで

完成した申請に必要な書類を所轄庁へ提出してNPO法人設立申請を行います。

設立申請する所轄庁は、NPO法人の事務所を置いている都道府県、
政令指定都市に事務所がある場合に限って市となります。

例えば東京都の場合は基本的の都に申請しますが、埼玉県の場合はさいたま市に
事務所がある場合のみさいたま市、それ以外は県が申請先です。

設立時点で都道府県を跨いで2か所以上に事務所を構えている場合は、
会社で言うところの本社がある都道府県や市が所轄庁となります。

申請してもすぐに設立が認められるわけではなく、申請した所轄庁によって
申請書類の一部を一般に公開する縦覧が1か月間行われます。

縦覧の終了後2か月以内に審査が行われて設立の認証もしくは不認証が決まるので、
申請してから結果出るまでの期間は最大3か月です。

不認証となっても再申請可能ですが結果が出るまでまた最大3か月待たないと
いけないので、書類の不備や記入漏れなどケアレスミスだけは避けましょう。

審査で認証されると所轄庁から認証通知書が送られてきますから、その到着から
2週間以内に事務所がある地域を管轄する法務局で設立登記申請を行います。

設立登記が完了したらすぐに設立を申請した所轄庁に設立登記完了届を提出、
これで手続きが全て完了となり晴れてNPO法人設立となります。

申請から登記まで最大4か月近くかかりますから、
それを頭に入れた上で早めに準備に取り掛かりましょう。

NPO法人設立に法定費用はかからない

NPO法人設立に法定費用はかかりませんから、
行政書士に頼まずに自分で全て行えばタダで設立することも可能です。

株式会社を作る場合には
 ・定款認証手数料
 ・印紙代
 ・定款の謄本取得費用
 ・登録免許税
といった法定費用がかかります。

株式会社設立の際は定款を公証人役場で認証してもらう必要があり、
定款認証手数料は公証人役場に払う手数料です。

印紙代は株式会社設立を申請する所轄庁の手数料、定款の謄本取得費用は
公証人役場で保管されている定款をコピーしてもらう費用です。

株式会社の設立申請で提出する定款が認証を受けたものであることを証明するのに、
公証人役場に保管されている定款の謄本が必要となります。

登録免許税は行政書士登録の際にも発生するもので、
各種登記や登録そのもの対して課される税金のことです。

定款認証手数料が50,000円、印紙代が40,000円、
定款の謄本取得費用は2,000円程度でここまででも10万円近くかかります。
(電子定款なら印紙代は不要)

登録免許税は15万円か資本金×0.7%の高い方なので最低15万円、
株式会社設立には約25万円の法定費用が必要です。

NPO法人設立では定款の認証が不要、所轄庁も手数料を取らず、
登録免許税も発生しないので法定費用はゼロとなります。

行政書士にNPO法人設立手続きのサポート・代行を依頼した場合の報酬相場

NPO法人設立の手続きは自分でできますが、少しでも不備があると再申請となるので
行政書士にサポート・代行を依頼するのが確実です。

行政書士の報酬に基準は設けられておらず、
各行政書士が自由に報酬額を決められるため相場が分かりにくいです。

NPO法人設立を取り扱っている行政書士事務所のホームページで報酬額を確認すると、
大体15万円ぐらいが相場となっています。

15万円は決して安い金額ではありませんが、
法定費用が不要なため他の申請手続きと比べても特段高額ではありません。

設立登記申請は行政書士ではできない

NPO法人設立のサポート・代行を行政書士に依頼する場合には、
設立登記申請だけは行政書士ではできないことを覚えておきましょう。

実は行政書士を含む士業にはそれぞれ「独占業務」があり、
独占業務は特定の士業でないと取り扱えません。

行政書士はNPO法人設立を始めとした各種許認可申請が独占業務となっており、
行政書士以外の士業には手が出せないのです。

株式会社やNPO法人などの設立登記申請は司法書士の独占業務で、
行政書士が行えません。

行政書士が知り合いの司法書士を紹介してくれるケースもありますが、登記申請が
できる司法書士を別途探さないといけないことも考えられるので注意が必要です。

もちろん行政書士の報酬とは別に司法書士にも報酬を支払わないといけませんから、
15万円の相場よりも費用がかかることも頭に入れておいてください。

NPO法人設立後も行政書士のお世話になる可能性がある

NPO法人の設立登記が完了しても行政書士との関係がそれで終わるわけではなく、
設立後も行政書士の力が必要となる場面が出てきます。

NPO法人は年1回事業年度の初め3か月以内に
 ・事業報告書
 ・活動計画書
 ・貸借対照表
 ・財産目録
 ・年間役員名簿
 ・社員名簿
を所轄庁へ提出することが法律によって決められているのです。

提出を怠ると20万円以下の過料で、
3年間を提出しないとNPO法人の認証が取り消されてしまいます。

もちろん自分たちで事業計画書などを作成して所轄庁に提出すれば良いのですが、
提出書類が結構多い上にちゃんと体裁を整えていないと受理されません。

受理されない恐れがあるとなると行政書士に依頼するのが確実で、
事業計画書など作成の報酬相場としては50,000円前後といったところです。

役員が変わる場合も役員変更届の提出が必要ですが、
役員が変わらなくても最低2年に1回は届出をしなければいけません。

NPO法人の役員任期は最大2年と定められていて、
全てのNPO法人の役員任期は1年か2年となっています。

役員の交代が無くても任期満了に伴う改選のたびに所轄署で役員変更届、
法務局で役員変更登記を行う必要があるのです。

役員変更届を行政書士に依頼した場合の報酬相場は大体20,000円前後ですが、
法務局への役員変更登記は司法書士に依頼するので別途費用がかかります。

NPO法人の外部役員として行政書士が招かれることも

行政書士の立場からすれば、NPO法人設立申請に関わることで
NPO法人の外部役員就任の可能性も出てきます。

NPO法人の役員には監査役が1人以上必要で、
監査役を複数人置く場合には1人を外部から招くことも多いのです。

実際に私の知り合いの行政書士は協同組合の監査役の外部役員に就任しています。

行政書士は継続性のある仕事が少ないと言われますが、先の事業報告や
役員変更の件も含めてNPO法人設立申請は継続性のある仕事ですね。

まとめ

NPO法人設立のサポート・代行を行政書士に依頼した場合の報酬相場は
大体15万円ぐらいです。

まとまった金額に見えますが、
法定費用がかからないので標準的な報酬額となっています。

NPO法人設立申請は準備しなければならないことも多く、
申請から認証まで時間がかかります。

万が一再申請といったことになると準備から認証まで半年以上かかることも
考えられるので、NPO法人を設立するなら行政書士に依頼することを検討しましょう。

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