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行政書士事務所の移転に必要な手続きは?費用は?

こんにちは、洋平です。

行政書士としてキャリアを重ねると、「業務を行うのに手狭」「地理的に不便」
などといった理由で事務所を移転せざるをえないこともあります。

今回は行政書士事務所の移転に必要な手続きや費用などについて
詳しく見ていきましょう。

事務所を移転したら「変更登録申請」が必要

行政書士が事務所を移転する場合には「行政書士変更登録申請」が必要となります。

最初に行政書士登録をする時と同じで、所属する都道府県の行政書士会を通して
日本行政書士会連合会に申請するのです。

必要事項を記入した行政書士変更登録申請書に行政書士証票と所属単位会の
会員証を添えて提出します。

紛失などで行政書士証票が提出できない場合は、
別途「誓約書」を提出しなければなりません。

行政書士登録をした時と同様に、移転先の物件の使用権原を証明する書類も
必要ですし事務所の図面と写真も必要です。

ちなみに使用権原を証明する書類としては、自己所有物件の場合は登記事項証明書、
賃貸の場合は賃貸借契約書などの写しを提出します。

図面は位置図と平面図、写真は建物全体の外観を写したものと入口、
事務所内部を写したものとなります。

自宅を事務所として使っていて、
引っ越しに伴う事務所移転の場合は新しい住所の住民票も必要です。

本籍地を変更する場合には戸籍抄本の提出も求められます。
(住民票・戸籍抄本ともに3か月以内に交付されたものに限る)

基本的には行政書士登録の際に提出した事務所関係の書類と同じですから、
登録の際の提出書類を参考に用意しておきましょう。

事務所を移転していないのに変更登録が必要なケースも

事務所を移転しなくても、事務所として使っている建物の住所が変わった場合には
変更登録が必要です。

頻繁に起こりうるケースではありませんが、市町村合併や区画整理、住居表示などに
よって同じ場所でも住所が変わるといったことがあります。

住所が変わった以上は事務所を移転したわけでなくても、
行政書士変更登録申請が必要なのです。

ただし事務所を移転せずに住所だけ変わった場合には、
申請は必要なものの手数料などの費用は発生しません。

事務所の住所が変わるケースだけでなく、結婚や離婚、養子縁組などで
氏名が変わった、自宅の住所・本籍地が変わった場合も変更登録が必要です。

氏名が変わった場合には変更登録に加えて「職名廃止届」、離婚や養子縁組解消
などで以前の氏名に戻す場合は「職名使用届」も提出することになります。

都道府県を跨いでの移転では単位会の変更も必要

都道府県を跨いで事務所を移転する場合には単位会の変更も必要となります。

行政書士は日本行政書士会連合会に登録すると同時に各都道府県の
行政書士会いわゆる単位会に所属しています。

最初の登録も単位会を通して日本行政書士会連合会に申請しますし、
変更登録などの各種申請も基本的に単位会を通して行うのです。

単位会の変更も行政書士変更登録申請で行いますが、
手続きの手順や必要書類が通常の事務所移転とは少し違っています。

通常の事務所移転では所属する単位会を通して日本行政書士会連合会に
変更登録申請を行います。

単位会変更を含む事務所移転では、
まず現在所属している単位会で退会の手続きを行わないといけません。

退会の手続きを行って「事務処理完了証明」を発行してもらい、
これを変更登録申請書類とともに変更先の単位会に提出するのです。

例えば東京から横浜に事務所を移転する場合だと、東京都行政書士会に発行して
もらった事務処理完了証明を神奈川県行政書士会に提出することになります。

ちなみに事務処理完了証明というのは、「会費未納などトラブルが原因での
単位会変更ではない」ことを証明してもらうための書類です。

単位会変更を伴わない移転では変更登録にかかる手数料のみですが、
単位会変更を伴う移転では単位会の入会金も払わないといけませんよ。

変更登録申請は移転先の単位会を通して行う

単位会変更を伴う事務所移転では、
日本行政書士会連合会への変更登録申請は移転先の単位会を通して行います。

東京から横浜に移転する場合は、現在所属する東京都行政書士会ではなく
移転後の所属先である神奈川県行政書士会を通して申請するのです。

申請の手順としては、まず現在所属している単位会で退会手続きをして
事務処理完了証明を発行してもらう。

事務処理完了証明を含めた行政書士変更登録申請に必要な書類を揃えて、
移転先の単位会に提出する。

単位会から日本行政書士会連合会に申請書が送られて、書類や手続きに瑕疵が
なければ変更登録が認められて完了通知が送られてくるといった感じになります。

変更登録が完了するまでには意外と時間がかかる

事務所移転に伴う変更登録申請を行って、
登録内容の変更が完了するまでには思った以上に時間がかかります。

一般的な感覚では長くても1~2週間程度と思いますが、
行政書士変更登録申請が完了するまでには大体2か月ほどかかるのです。

もちろん絶対に2か月かかるわけではありませんが、
2か月ぐらいはかかると思って手続きをしておいた方が良いですよ。

変更登録が完了しないことには業務を再開できませんから、移転後に手続きを
開始すると2か月は行政書士として仕事ができないことになってしまいます。

移転先の物件などの関係で難しいかもしれませんが、
できるなら移転前に変更登録の手続きを開始するのがベターですね。

変更登録申請に必要な書類に不備があるともっと時間がかかる恐れもありますから、
記入漏れなどのケアレスミスが無いように書類はしっかりとチェックしておきましょう。

行政書士法人は法人・個人それぞれの変更登録が必要

行政書士法人の事務所を移転する場合には、
行政書士法人と法人に所属する行政書士個人それぞれの変更登録が必要です。

行政書士法人は活動している間は事あるごとに日本行政書士会連合会へ
届出を行う義務が課せられています。

所属する行政書士の自宅住所や役職が変わっても届け出ないといけませんから、
事務所移転では当然届出が必要なのです。

行政書士法人の事務所を移転する際には、
「行政書士法人名簿記載事項変更届出」の手続きをしなければいけません。

事務所の住所が変わりますから、
行政書士法人に所属する行政書士個人としても変更登録申請が必要なわけです。

事務所移転時にも現地調査が行われる

当然と言えば当然ですが、
行政書士事務所を移転する場合には移転先の物件の現地調査が行われます。

単位会の変更を伴う場合はもちろん、
同じ都道府県内の移転で単位会の変更が無い場合でも調査員が来て調査れます。

行政書士登録の時と同じで、
業務を行うのに必要な最低限の備品ぐらいは揃えておいた方が良いですよ。

現地調査で不適格と見なされることは少ないですが、あまりにも行政書士事務所に
必要なものが揃っていないと再調査になる恐れがあります。

再調査となると調査員の心証も悪くなってしまいますし、
何より変更登録申請の手続きが遅れてしまいます。

手続きが遅れて得なことはありませんから、
現地調査の際には業務に最低限必要な備品は揃えておきましょう。

行政書士事務所の移転手続きにかかる費用

行政書士事務所の移転手続きにかかる費用としては、
日本行政書士会連合会に支払う登録手数料の4,000円がまず必要です。

事務所移転に伴って単位会も変更する場合には手数料が5,000円となり、
基本的に事務所移転にかかる手数料はこれだけとなります。

市町村合併や区画整理、住所表示などで事務所の住所が変わったのであれば、
変更登録申請は必要なものの手数料は発生しません。

ただし同じ不可抗力でも国や自治体による土地収用による事務所移転では、
通常の移転と同じで手数料が発生します。

単位会変更にかかる費用

事務所移転に伴って単位会も変更する場合には、
日本行政書士会連合会に支払う手数料は5,000円だけです。

単位会を変更すると新規登録の際と同じで、
移転先の単位会へ入会金を支払わないといけません。

例えば東京から横浜に事務所を移転する場合には、変更登録の手数料5,000円に
加えて神奈川県行政書士会の入会金25万円が必要となります。

さらに3か月分の会費として、
神奈川県行政書士会の月会費は6,000円なので18,000円も支払います。

東京から横浜に事務所を移すのに手数料・入会金・月会費の前払い分を含めて
273,000円かかります。

移転先の単位会によっては会則の購入や政治連盟会費なども支払うことになり、
単位会の入会金によっては移転費用だけで30万円ぐらい必要となることもあるのです。

名刺や帳票類などの作り直しも必要

住所の入った名刺や請求書などの帳票類を使っている場合は、
当然それらの作り直す費用もかかります。

パンフレットを作って配布している場合はパンフレットも作り直さないといけませんし、
ホームページを持っているとホームページの内容も一部変更が必要です。

事務所住所の変更だけなら簡単ですが、事務所へのアクセス方法などで
地図を貼り付けている場合は変更に少し手間がかかってしまいます。

自分でホームページの更新ができるなら費用はかからないものの、
業者に依頼するとそれなりの費用を請求されます。

単位会の変更を伴う事務所移転だと、名刺や請求書などの作り直しが加わることで
移転手続きにかかる費用が30万円を超えることも十分に考えられます。

行政書士事務所の移転先としてレンタルオフィスはアリ?

自宅の一部を事務所として使っていたけれど、事務所経営が軌道に乗ってきたので
自宅とは別に物件を借りて事務所にしようといったことも考えられます。

行政書士事務所の移転先としてレンタルオフィスを利用することは
可能なのでしょうか?

結論から言うと「条件次第ではレンタルオフィスを行政書士事務所として登録することは
可能」です。

行政書士事務所として使える物件の重要な条件として
 ・使用権原が適正であること
 ・依頼人の秘密が守れること
の2つがあります。

使用権原については、レンタルオフィスは事務所や事業所としての利用を
想定したものですから全く問題ありません。

当然事前に行政書士事務所として使うことの許可を取っておく必要はありますが、
断られる心配はほとんど無いです。

問題は2つ目の「依頼人の秘密が守れること」で、レンタルオフィスの形態によっては
行政書士事務所としての使用が認められないかもしれません。

フロアを他の利用者と共有していても、内側から鍵がかけられる個室が常用できるなら
行政書士事務所として認められる可能性があります。

個室が利用できても鍵がかけられず、他の利用者が簡単に出入りできるような
形態では行政書士事務所としては使えません。

鍵がかけられる個室が使える必要があるので、1つの空間を他の利用者と共有する
コワーキングスペースは行政書士事務所として使うのは難しいです。

バーチャルオフィスは行政書士事務所として使える?

自宅とは別に事務所を設けるにしても費用を節約するために「バーチャルオフィス」の
利用を考えているケースもあるかもしれません。

基本的にバーチャルオフィスは住所のみが借りられるサービスで、
物件自体は借りられないので行政書士事務所として使うのはほぼ無理です。

ただ単位会によっては、バーチャルオフィスを登録上の住所として
実務は別の場所で行うといった場合だと認められるケースもあります。

行政書士の情報は日本行政書士会連合会の公式サイトに掲載されるので、
自宅を事務所として使うと自宅住所を公開することになってしまいます。

自宅住所を公開すると、
自分を含めた家族が何かしらのトラブルに巻き込まれる恐れが出てくるのです。

そこで自宅の一部を使って行政書士業務を行うけど、登録上の事務所住所に
バーチャルオフィスとすることでトラブルを未然に防げるというわけです。

単位会によっては登録上の住所と実務を行う場所が違ってもOKとされていて、
その場合にはバーチャルオフィスを事務所として登録することができます。

ただ基本的にバーチャルオフィスを認めていない単位会が多いので、
バーチャルオフィスを行政書士事務所として使うのは難しいと思った方が良いですね。

まとめ

行政書士事務所を移転する場合には変更登録申請が必要で、
変更登録申請には手数料がかかります。

変更登録申請の手数料は4,000円で、
都道府県を跨がない移転だと手続きにそれほど費用はかかりません。

ただ都道府県を跨ぐ移転で単位会の変更を伴うと、移転先の単位会に入会金を
払うことになるので場合によっては30万円程度の費用となることも考えられます。

変更登録申請の手続き自体が結構面倒で時間もかかりますから、
事務所移転を考えている場合は早めに準備に取り掛かった方が良いですよ。

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