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行政書士は「楽な仕事」なのか?

「楽だと聞いたことがあるから行政書士を目指している」といった人も
少なからず居るのはないでしょうか。

実際に「行政書士は楽な仕事なのか?」について詳しくみていきたいと思います。

最後まで読んでいただくと、行政書士という仕事に対する見方がきっと変わりますよ。

行政書士は楽な仕事か?

結論から言ってしまうと、
行政書士は他の仕事に比べると体力的にも精神的にも楽と言えます。

行政書士の主な仕事は、
行政手続きなどに必要な書類の作成と手続きの一部代行です。

手続き代行では1日に関係機関を何か所も回ることがありますが、
書類の作成は基本的に事務所で行います。

関係機関を回るにしても歩いて回る必要は無く、
自家用車やタクシー場合によって電車を使うので体力的にキツくはありません。

書類作成は空調の効いた室内で椅子に座って行いますから、
これで「体力的にキツい」などと言うと他の仕事をしている人に怒られますね。

炎天下や極寒の中で仕事をするわけでもなく、重い物を運ぶことわけでもなく、
休憩する暇が無いわけでもなく、行政書士は体力的には楽な仕事なのです。

行政書士は独立開業が基本

行政書士が精神的に楽なのは「独立開業」が基本だからです。

ちなみに、行政書士会連合会が定める規約によって、
行政書士として一般企業に就職することはできません。

行政書士の資格を持った人が一般企業に就職することはできますが、
企業内で行政書士の業務を行うのはダメです。

行政書士法人に就職できるものの、行政書士の求人は少なく、
独立開業している行政書士が大半なのです。

実際に企業に就職して働くと分かりますが、
業務そのものはもちろん周辺の人との人間関係に大きなストレスを感じます。

行政書士は業務でストレスを感じることはあっても、
基本的に1人で仕事をするので人間関係のストレスはあまり感じません。

人間関係のストレスが少ないと、
他の仕事をしている人からは「精神的にも楽」に見えます。

実際に行政書士が精神的に楽かどうかは別として、他の仕事と比べると
人間関係のストレスが少ない分だけ楽に感じられるのは確かですね。

業務のストレスは少なくない

行政書士は他の仕事に比べて人間関係のストレスが少ないですが、
業務で感じるストレスは決して少なくありません。

行政書士の主な業務の1つに「各種許認可申請」があり、
これはかなり責任の重い業務となっています。

新しい事業を始めたりお店を開く時には、
国や自治体など関係機関の許可や認可を受ける必要があるのです。

関係機関に申請すれば許可や認可が受けられるわけではなく、
申請書類に不備があれば当然許可や認可は受けられません。

許可や認可が受けられず再申請となると、
事業開始や開店が遅れて金銭的な損害が発生する恐れもあります。

ミス1つで事業計画が大きく狂って損害が発生することもあるので、
行政書士にとって許認可申請は非常に責任の重くストレスのかかる業務なのです。

行政書士の仕事は人間関係のストレスが少ない分、
他の仕事よりは精神的に楽なのは事実です。

他の仕事と比べてと言うだけで、業務から受けるストレスは大きいですから、
絶対的に楽な仕事とは言えません。

行政書士は「楽に稼げる仕事」ではない

他の仕事に比べて体力的・精神的に楽となると、
「行政書士は楽して稼げる仕事」と勘違いされるかもしれません。

体力的・精神的に多少楽なのは間違いありませんが、
決して「楽して稼げる仕事」ではないのです。

行政書士が楽に稼げる仕事でない理由を詳しく見ていきましょう。

誰も助けてくれない

行政書士は独立開業が基本ですから、
分からないこと困ったことがあっても誰も助けてくれません。

他の仕事だと、まず研修を受けてある程度慣れてから現場へと配置されます。

現場に出てからもサポートしてくれる先輩や上司が居るので、
分からないことや困ったことがあっても相談できます。

独立開業した行政書士には研修期間は無く、
場合によっては実務経験が無いまま業務を請け負うことになるのです。

事務所に行政書士は自分1人で先輩も上司も居ませんから、
分からない困ったことがあっても相談すらできません。

それでいてミス1つ許されず、完璧で当たり前なので、
行政書士は決して「楽に稼げる」わけではないのです。

開業してからも勉強が必要

行政書士に限らず他の士業でもそうですが、
開業後も業務と並行して行政書士業務に関する勉強をしなければいけません。

国会中継で居眠りしているところを映されて「国会議員は仕事をしていない!」と
言われますが、年間に100~200件の法律改正が国会では行われています。

改正される法律の中には行政書士業務に関わるものもあり、
業務の内容が変わったり、業務自体が増えたりするのです。

改正された内容に沿って書類作成や手続きをする必要がありますから、
法律改正で業務にどのような影響があるのかを勉強しないといけません。

所属する都道府県の行政書士会が開く勉強会に参加するか、
法律改正に関する情報を集めて独学で勉強するかになります。

「人生日々勉強」とは言われるものの、実際に仕事をしている限りは
勉強し続けないといけない行政書士は決して楽ではありませんね。

行政書士試験で勉強したことは実務で役に立たない!?

行政書士試験で勉強したことが役に立たないことはありませんが、
実務を行うには試験勉強だけでは不十分です。

行政書士試験で出題される範囲は、
実際の行政書士業務で言うと「ごく一部」でしかありません。

行政書士として業務を行うのに必要な知識は、
試験勉強で得た知識の何倍も必要なのです。

実際に許認可申請だけでも1万種類以上あり、
それ以外の業務も含めると試験勉強で得た知識だけでは当然足りません。

試験勉強で得た知識のみで業務を行うことは不可能で、
開業後に試験出題範囲以外の部分を勉強しなければいけないわけです。

受験時のように勉強だけしていれば良いわけではなく、
行政書士業務と並行して勉強することになるので楽ではありません。

時代の変化で新しく増えた業務も

時代が変わったことで時代に沿った法律改正が行われて、
新しく行政書士業務として追加されたものもあります。

代表的なものが「ドローン」や「民泊」に関する登録や届出、許認可申請ですね。

ドローンが登場した頃は単なるオモチャとしての扱いで、
ドローンを所有するのはもちろん飛ばすのにも特に許可は必要ありませんでした。

技術の進歩によってドローンをより高くより遠く飛ばせるようになり、
さらにはカメラを搭載することもできるようになりました。

高く遠く飛ばせると他の飛行物の邪魔になりますし、
カメラを搭載したドローンを飛ばすとプライバシー侵害の恐れも出てきます。

現在は重量が100g以上のドローンは所有するだけでも登録が必要で、
飛ばすには高度や場所などの条件次第では許可が必要なのです。

民泊も法整備が進んで届出制となったことで、安全な商売として成り立っています。

ドローンや民泊に関する業務のように、
法律改正によって新たに業務が増えることもあるので勉強が必要なのです。

電子申請にも対応しなければいけない

行政書士業務にもIT化の波が押し寄せていて、
許認可申請など一部手続きの電子化が進んでいます。

行政書士は「代書屋」とも言われるように、
これまでは紙ベースで業務を行うことがほとんどでした。

これからは電子申請にも対応しなければならず、
パソコンやスマホの使い方も勉強しなければならないのです。

新しい業務であるドローンや民泊に関する手続きは基本的に電子申請ですし、
会社の定款も電子化が進んでいます。

定款は紙ベースで作ると印紙代4万円かかりますが、
電子化だと印紙代が不要となるため電子定款にする企業が増えています。

電子化については、
これから行政書士を目指す若い人にはそれほど大きな影響はありません。

むしろ、既にある程度実績のあるベテラン行政書士の方が対応に苦労しているかも
しれないですね。

ベテランになっても勉強が必要な仕事はなかなかありませんから、
行政書士が楽な仕事でないことが分かります。

営業活動をしなければ仕事が入ってこない

行政書士も一般の企業やお店と同じで、
積極的に営業活動を行わないと仕事は入ってきません。

国家資格で法律で身分が保証されているので、
事務所で座っていれば次から次に仕事が入ってくると勘違いされがちです。

全国に行政書士は5万人以上居ますから、
何もしなくても仕事が入ってくる行政書士が居るかもしれません。

何もしなくても仕事が入ってくる行政書士が居たとしてもほんの一握りで、
大多数の行政書士は営業活動を行うことで仕事を得ています。

一般的な企業だと担当社員が営業を行いますが、行政書士事務所は
基本的に1人で切り盛りしているため営業も行政書士自身が行います。

行政書士の力が必要になるケースはそれほど頻繁にはありませんから、
飛び込み営業はあまり効果的ではありません。

相手に対応する手間と時間を取らせてしまうので、
飛び込み営業は行政書士の営業活動としてむしろ逆効果になってしまいます。

行政書士の営業方法として個人的に効果があると考えているのが
パンフレットのポスティングですね。

ハッキリ言って行政書士事務所はどこにでもありますから、
わざわざ遠方の行政書士に仕事を依頼することは少ないです。

仕事の依頼は主に近隣から入ってくるので、事務所近隣の住宅や事業者に
パンフレットを配って行政書士の存在をアピールしておくことが重要となります。

パンフレットを作るのにお金がかかりますから、
経費を節約するならポスティングは行政書士自身が行わざるをえません。

業務はもちろん法律改正の影響や新しい業務の勉強、
さらに営業活動まで行うのですから行政書士は全然楽に稼げる仕事ではないですね。

行政書士はやりがいのある仕事

決して楽に稼げる仕事ではないのに、
多くの行政書士が仕事を続けられているのは「やりがい」があるからです。

行政書士の仕事は完璧が求められ、
1つでもミスをすると顧客に大きな迷惑をかけてしまう責任の重い仕事でもあります。

責任が重い分、ミスなく業務を完了させると顧客にとても感謝してもらえます。

最初に相談しに来た時の顧客の深刻な表情が笑顔になって、
「ありがとう」「助かりました」と言われるのが行政書士にとっての何よりの報酬なのです。

世の中には色んな仕事がありますが、
直接的な言葉で感謝を伝えられる仕事はそれほど多くありません。

行政書士は言葉で感謝を伝えられる多くない仕事の内の1つで、
それだけに大きなやりがいを感じる仕事でもあります。

色々なタイプの人に出会える

行政書士は「人と会う」のも仕事の内で、
普通に生活していると出会えないようなタイプの人と出会えるのも魅力の1つです。

行政書士の仕事は1万種類以上と多岐にわたっている上に、
どちらかと言うと単発的な仕事を依頼されることが多くなっています。

継続的に依頼される仕事だと会う人が限られますが、行政書士は単発的な仕事が
多いので仕事のたびに違う人と会うことになったりするのです。

昨日は新規事業を立ち上げる大手企業の担当者、今日は相続問題に悩む老夫婦、
明日はビザを取得したい外国人、などといった感じです。

極端な例でしたが、職業・年齢・国籍を問わずに色々なタイプの人に出会えるのは
行政書士ならではでしょう。

仕事の内容によっては生い立ちや家庭事情といった深い話をすることもあり、
色々な人から色々な話を聞けるのも行政書士の楽しみの1つですね。

やり方次第で1000万円以上稼ぐのも夢ではない

行政書士は儲からないという話もよく聞きますが、
やり方次第では1000万超を稼ぐこともできます。

日本行政書士会連合会が以前に年間売上に関する調査を行ったところ、
約10%が年商1000万円オーバーでした。

年商1000万円で税金など諸々引かれて手取りの年収は800万円前後、
経費を差し引くと650~700万円の収入といったところでしょうか。

手取りで600万円以上の年収を貰っているサラリーマンは全体の10%程度ですから、
行政書士で年商1000万円はかなり稼いでいると言えるのです。

行政書士の9割が年商1000万円未満で、
その大半が年商500万円未満となっています。

大半が年商500万円未満だと「全然儲からない」ように見えますが、
年商500万円未満の行政書士の中には積極的に仕事をしていない人も居ます。

公務員として行政事務に17年以上従事すれば、
国家試験に合格しなくても行政書士として登録できる資格が手に入ります。

公務員を定年退職してから開業し、
年金を貰いながら行政書士として仕事をしているケースが結構あるのです。

一定以上の収入があると年金が減額されるため、年金が減らないように収入を調整している行政書士がある程度居ることになります。

年金のために収入を調整している行政書士も年商500万円未満に含まれるため、
実質的には年商1000万円超の行政書士の割合は10%よりもっと多いはずです。

やり方次第ではあるものの、
平均的なサラリーマンよりも稼げる可能性が十分にあるのは魅力的ですよね。

まとめ

行政書士は事務仕事がメインなので体力的には他の仕事よりも楽です。

独立開業が基本で同僚も上司も居ないケースがほとんどですから、
人間関係のストレスが少ない分だけ精神的に楽と言えます。

しかし同僚や上司が居ないということは全ての業務を自分で行い、
その責任は全て自分にかかってくることなります。

許認可申請など1つ1つの業務は責任が重く、勉強や営業活動も欠かせないため
行政書士は決して「楽に稼げる仕事」ではないのです。

楽には稼げないもののやりがりも高収入を得られるチャンスもありますから、
行政書士として成功する道を進んでくださいね。

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